TIME,FLIES,EVERYTHING GOES

日々のこと、DJのこと、音楽のこと。

大人になってしまったぼくの話

今年の5月で26歳になる。

いよいよ折り返して、30代が見えてくる。

ぼくはもう、大人になってしまった。

 

17歳の頃感じていた無敵感はもうない。

あの頃、ぼくは無敵だった。

ギターとベースとドラムと、それを演奏する友人がいれば。

 

ぼくはコピーバンドをしていた。

GOING STEADYの「もしも君が泣くならば」をコピーしていて、

世界中で一番ロックスターなんじゃないかと錯覚するほどに、

ぼくはバンドにのめりこんでいたし、

ギターを持ってマイクスタンドの前に立てばぼくはヒーローになれた。

恥ずかしい言葉や顔を覆いたくなるようなパフォーマンスもできた。

あの頃、ぼくは本当に無敵だったんだ。

 

大学受験を目指して勉強し始める頃から、

ぼくは無敵じゃなくなっていった。

上がる偏差値に反比例して、ぼくは無敵感を手放していく。

行きたい大学に入ることができた頃には、

ぼくよりもヒーローだったあいつがうらやましくて仕方なくなっていた。

ぼくは一般人Aに再び戻った。

 

一般人Aに戻ったぼくは、それでもヒーローになりたいとあがいていた。

バンドは友達と少しだけ続けていたし、新しく演劇をかじってみたりした。

それでもぼくより上手いギタリストやボーカリストが、

ぼくよりかっこよく演奏をしていったし、

ぼくより面白い話を考える人々が、

ぼくより素敵に演じていく姿を見て、

ぼくは一般人Aにしかなれないんだと悟った。

 

それでも、

当時付き合っていた女の子の中ではぼくはヒーローになれたのかもしれなかった。

けど、ぼくは何も考えずに色々なことに手を伸ばしまくって、

結果ぎくしゃくして、別れることになった。

なんでもできると思っていたぼくは、

何もできなかったんだと悟ってしまった。

 

ぼくにしかできないことはなんだともがき続けた。

バイトに打ち込んでみたり、

卒業論文で誰も取り上げないようなテーマを取り上げてみたり、

ぼくは色々と、とにかく色々とやり続けてみたけれど、

どれもぼくにしかできないことだったのかと聞かれると、

答えに窮するものばかりがぼくの周りには残っていた。

 

そうしているうちに、ぼくは就職活動をはじめた。

結局ぼくにしかできないことではないけれど、

生きるためには働かなければならなかったし、

何より「ぼくにしかできないこと」を探しているうちに、

「ぼく以外でもできること」ができなくなってしまうことが怖かった。

一般人Aになっていたぼくは、

いつしか一般人Aであることにどこか安心していたのかもしれない。

 

就職活動中に出会った人たちは、

「私にはこんなにすごいことができます!」

「僕はこんなに素晴らしい人間です!」

と大きな声で言うのが得意そうな人たちばっかりだった。

なんだかよくわからないうちに、

バイトをしていた塾にそのまま就職することになって、

ぼくは社会人になることになった。

 

社会人一年目になった。

ぼくは偉くなりたい、と思った。

会社に入ったときはまだ自分がどうしたいのかよくわからなかったけれど、

何かをやりたい!と思ったときに、

一番やりたいことができるのは偉い人だと思ったからだ。

 

だけど、会社のいうあるべき姿にはずっと違和感を持っていた。

ぼくは会社のいうあるべき姿からは程遠いと思っていて、

その姿に近づくことを魅力的には感じることができなかった。

一年目はとりあえず、与えられた仕事をしっかりしよう、

と思っていたのに、どこか抜けていることが多くて、

同期がどんどん先に進んでいったり、

大きな仕事をこなしている姿ばかりが目に付いた。

自分はいつまでも下っ端で、どうしようもないことばかりしていた。

 

二年目になってもそれは変わらなかった。

それどころか、どんどん遅れていったように感じた。

上司からは「頭おかしいんじゃないか」「発達障害か」と

褒められることより怒られることの方が圧倒的に増えた。

人が上手にやっているやり方を真似てみてもうまくいかない。

何が悪いのかが全く分からない。

どんどん周りが進んでいく、変わっていくのに、

ぼくだけが置いていかれていて、見放されていて、

どうしようもない、そんな風に考えることが増えた。

 

そして去年の10月、ぼくは全て放り出して失踪した。

一週間放浪しながら、死にたい、死にたいと考えるようになった。

 

しばらく休め、と言われて、今も自分がどうしたいのか考えている。

 

最近は死にたいと思うことは減った。

それでも一気に希死念慮が襲ってくることはあって、本当に困る。

 

ぼくは大人になってしまったのに、

ぼくの中身は何も変わらないで、ずっとある。

ぼくは大人にならなければいけないのに、

と思うことが増えた。

 

これから大人になる人たちは、

こうならないようになってほしいな、となんとなく思った。

どうしたらよかったのかは未だに分からないけれど。

それでも。